「ひかるを見せてください」
「榊さん?」
「髪にも触れたい。抱き締めたい」
「ダメだよ」
「ダメじゃない。ひかるはわたしの」
覆い被さるようにキスをしてひかるの左手のハンカチを巻かれたところを掴んだ。
「この傷もわたしのものです」
抱き締めて想いを結ぶ。
いつだってひかるを抱き締めて離さない。
掬い上げるようにして横抱きしそのままシャワー室へと歩む。
「服が濡れちゃうよ」
「ふたり濡れるならそれもいいでしょう」
「でも、」
「こうでもしないと脱がせられないですから」
コックを捻りお湯を出してひかるを抱き締めたままシャワーを浴びる。
艶やかな黒髪が濡れて、服が透けて肌に吸い付いていく。
上がる湯気の中でもひかるの顔が上気していくのがわかる。
「濡れちゃったね」
ひかるがクスクス笑って胸に頬をぴったりとつけた。



