離れてとは言えない。 自分にはこの手が必要だ。 「りおさん、若が」 「泣いていいよ」 そうじゃない。 だけど背中の暖かさを温もりを離したくない。 自分でも離れてほしくないと思ってる。 この場に若がいたとしてもりおさんを離したくない。 大事にしてるひとだとわかってるのに、今まで遊んだ女たちとは違うと知っているのに離してほしくないと態度と裏腹に思う。 「りおさん、若が見たら、」 ―――俺がなんだって? 低く緊張した声音がテラスの入り口からした。