一歩足を踏み出すと簡単に薙ぎ払われた。
「甘い」
くっ、
また一歩踏み込んで若佐との距離をはかる。
迂闊に踏み込めば斬られる。
ガキン
鍔迫り合いで若佐の余裕のある表情に気づく。
キン
受け流してすぐに体勢を整えて構え直すと、
ハラリ
掠めた風の音と共に前髪が散った。
立ち位置があと少しずれていたなら髪の毛が切れただけでは済まなかった。
「や、榊さん!」
若佐の後ろでひかるが悲鳴を上げた。
「大丈夫です」
ひかるに言い、若佐を睨む。
一太刀。
大きく振れば若佐が素早く反応して受け流す。
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