腕の中のひかるが精一杯の気持ちを預けてすがり付く。
「ひかる」
「―――今だけ」
目を閉じるひかるの顎を掬い上げ深く深くキスをする。
「…ん、ふっ」
不安に押し潰されそうなふたりを支えるのは、お互いを想う気持ちだ。
不安に負けないように、お互いをお互いで支え合う。
何度も深いキスをして。
何度も抱き締めて。
一也を失うかもしれない押し潰されそうな不安をふたりで拭う。
「…、んっ…」
苦しげに息を継いで、それでもひかるは離れようとしない。
今支え合うのはお互いだけ。
「ひかる」
一也はひかるを欲していた。
毅がひかるの護衛に自分の代わりに就くと決まった時に自分と同じ表情をした。
あの一瞬で気づいてしまった。
ひかるへの気持ちを。
「―――ひかる」



