「さ、…榊さん」 「ひかる」 痛いと言わない我慢強い。けれど瞳が泣いていた。 「ひかる」 「…だい、じょうぶ……」 汗ばんだ額に掛かる濡れた髪を掻き分けてくちづける。 息を整えて痛みを逃がしても痛いのは痛いのだ。 「愛してます」 精一杯の気持ちで頬を撫でてくちびるを重ねた。 ―――貫いた瞬間 二度と離さないと誓った。