『若恋』榊の恋【完】



体勢を低くしていなかったら確実に避けきれなかった。
避けると同時に若佐の右腕を小刀で切りつけた。

今度は手応えがあって若佐の狂気の笑みが苦痛に歪んだ。

二の腕の辺りのワイシャツに朱が滲んでいく。

ほんの少し掠めただけで、スタンガンは取り落とすこともなく、若佐の手にまだ収まっている。


「油断した、かな」

苦笑いして腕を見る。


「ひかるちゃんは連れて帰ります。あなたには渡さない」


ギリと歯を噛み締める。


ふと、横を見ると薄暗闇の中に何かが光って見えた。
柱の脇にはカメラが設置してあった。少女たちを食い物にする時にカメラを回しておき、それをネタに口止めしていたんだろう。
もしくはゆすりのネタにして関係を続ける…


自分が飛び込んでこなかったら、ひかるちゃんは―――