じわじわと近づく若佐に、床に落ちていた指輪を拾い、体勢を低くして対峙する。
「これには誰も勝てないよ」
すっ。
影が動いた。
意外に身軽な若佐に驚いた。
コンマ一秒遅かったなら、スタンガンにやられていた。
寸でのところでかわして懐から腕を抜いて突き出してきた腕に当てた。
ザッ
若佐の袖が繰り出した刃で切れた。
微かな手応えしかなく、若佐は痛みに顔を歪めることもなかった。
「玩具の小刀なんて」
相手にならない。
若佐は鼻で笑って余裕の笑みを浮かべた。
「ひかるちゃんは返してもらう」
「できるものならな」
「あなたにはひかるちゃんは渡しません」
距離を測りながら首に刃が届くのを想像する。
素直に降伏するのであれば腕の一本で済ましてやろうと思ったが無駄なようだ。
「天宮はなかなかいい子でね」
「ひかるちゃんはわたしのものです」



