「わかった、わかった」

「もう!返事は一回だけって言ったじゃない」


小さなおませさんは、常に自分にベッタリだ。

その日は彼女が出来たんだなんて話をしたから、尚更に不安に思っていたんだろう。


だけど自分はまったく気づいていなかった。




「あ、榊くん!」


公園の桜の樹の下から、友達から彼女に昇格したばかりのマイミが手を振ったのが見えた。


「どしたん?」

桜の樹の下にいるマイミに近づきべったり脇に引っ付いている里桜を指差した。

「これ、妹の里桜」



紹介すると、顔を赤くして自分の背中に隠れてしまった。



「お兄ちゃん、誰なのこのひと…」

「ん?さっき話したマイミさんって名前の彼女だよ」

「…………」



脇に隠れるようにして、でも里桜の目はしっかりとマイミを捕えていた。