難しいことは里桜はまだわからないから、里桜の次に可愛いと思ってる子ができたんだよって教えた。


初めて仲良くなったクラスの子で隣の席になってから親しさが増して学校から帰る時も何も約束しなくても自然と一緒に帰るようになった。


「お兄ちゃんは里桜のこと好き?」

「ん、大好きだよ。家族だろ」

「違うの。お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんの好きじゃなくて、里桜のこと好きなの?って聞いたの!」



里桜が頬っぺたを膨らまして拗ねた。

「どっちも大好きだよ」

「違うの!里桜を好きじゃなきゃだめなの!お兄ちゃんは里桜のものなの!」


女心なんか全然わからない自分の袖に里桜はしがみつく。



「里桜のお兄ちゃんなんだから誰にもあげないんだから」

「えー、はいはい」

「お兄ちゃん、返事は『はい』のひとつだけだってお父さん言ってたよ」