砕けた硝子の欠片を踏み一也が先に一番手前の受付の中を確かめる。
「ここにはいません」
足を進めた拓也が隣の物品室を開ける。
「いません」
「たぶん二階でしょう。まずは一階を。その上で二階へ行きましょう」
気持ちが焦るが、ひとり飛び出してもひかるちゃんを奪還できない。
「診察室にも誰もいねえぞ」
「トイレも処置室にもいません」
前広が玄関口を押さえてる。
「若、隣近所が騒ぎ始めました。どうします?」
「映画の撮影をしてるとでも言え」
「わかりました」
「二階へ上がるぞ」
仁が先頭に立ち若を守るように進み、後ろに自分がつく。
「廊下に!」
仁が身を引くと同時に細い音が走った。
ヒュン
応戦に仁が発砲する。
「仁、流石だな。腕はいい」
「顔もいいだろ?」



