相思相愛~彼方という存在~



「琉乃ちゃん、折角来てもらったのに悪いんだけど、急な用事が入ったみたいだ・・・」

『いえ、お気になさらないでください』

私はホッとため息をついた。

これで、今日は玖遠とは喋らなくて帰れそう・・・

そう思ったのも束の間だった。

「このあと、琉乃ちゃんに学園を案内しようと思っていたんだけど・・・残念だね。だから、僕の代わりと言ってはなんなんだが・・・玖遠に案内してもらってくれるかい?」

『ほぇ?!!』

油断して、安心しきっていたため変な声が出てしまった。

「幸いにも、玖遠とは呼び捨てで呼び合えるぐらいの仲みたいだから・・・大丈夫だよね?」