「おい、イブキ。いけっか?出番だぜ。」


「・・・ん」


軽く頬を叩かれ、目を擦りながらイブキが起き上がる。



「俺寝てた?・・・なんか頭ン下ごつごつして夢見悪ぃ~。」


「はぁ!?仏心で肩貸してやったのに、何なのその言い草っ。減らず口がっ。」



ゲラゲラ笑って立ちあがるイブキ。







「アンタそんなんでまだやれんの?」




アタシに限ってフツーに心配とかありえないっすから。




挑発的にそういうとイブキはニヤッて口端を持ち上げた。





「俺様を誰だと思ってんのー?まだまだ余裕ですから~。」





そう言ってイブキはフロアへ歩いて行った。





疲れてるなんて微塵も思わせないその後ろ姿に心の奥の方がきゅっと疼く。





「兄ぃ。」





続いて歩き出した兄ぃを小さな声で呼びとめた。






「アイドルなんかになった兄ぃの気持ち・・・・ちょっとだけ分かる気がした。」