「・・・兄ぃ」






廊下を走っている最中、向こうからやってきた兄ぃの顔を見るなり、身体から力が抜けた。





兄ぃはアタシを見るなり、傍の階段の方へ引っ張って行き、無言でぎゅーって抱きしめてくれた。





フザケンナ、セクハラ兄貴っ、ていつもなら騒ぐトコロだけど。






強い腕の力にほっとして、子供みたいに兄ぃにしがみ付いた。










「兄ぃ・・・アタシ、良いコトしたよね?でも、何でかな・・・苦しいんだよ。」



ユートとの会話を聞いた兄ぃはアタシがユマとイブキを仲直りさせようとしたのを知っている。



それで映画のチケット買いに行くのも一緒にいったし。