ルシフェルの言うことにも一理ある。
現にルシフェル自身、神への反逆という大罪を犯しておきながら、今もその存在を許されている。創り出した者にとって、それを消すなどいとも易い事であるだろうに――
「ふ……。本当に、貴方は屁理屈が上手です」
「誉めてもらえて光栄だよ、ミカエル」
脱力して溜息混じりに呟くミカエルに、鳥は翼を胸の前にあてて仰々しくお辞儀を返した。芸達者な使い魔だ。
「仕方ないですね……教えて差し上げますよ。大丈夫。マリアは元気ですとも。真面目に仕事もやっていますし……まあ、たまに道草もくっているようですがね」
鳥から目を逸らしてミカエルは再び書類を捲くる。
「おや? 知っててお咎めなしかい?」
意外そうな声をあげる鳥から顔を背けたまま、ミカエルは苦笑を漏らす。

