マリアさんはそれを僕に悟らせまいと。
残念だったねーなんて言いながら笑ってみたり、あれは予兆だなんて嘘を僕についてみせたのではないだろうか。
そうやって僕を騙しておいて、最初っから……最終的には羽根を僕に戻すつもりだったに違いない。
僕が死にたいと望んでも。
自分が天界に戻れなくなるとわかっていても。
僕を生かすためだけに――
自分の胸元に視線を落とし、そう思うと。胸がぎゅう、と締め付けられるような気分になった。
そんな僕の頭上からミカエル様の声が降ってくる。
「けれど羽根の属性が変わりましたから、今度の寿命は多分長くなるでしょうね」
胸元に手を当てたままゆっくり顔を上げると、光を帯びる整った白い顔が僕をじっと覗き込んでいた。
僕の顔を覗き込む、軽く、唇の端を緩めたミカエル様の表情は柔らかで、どこかほっとしているようにも見える。