「本当は今日が君の寿命で、マリアの羽根はマリアに返されるはずだったんですが。事前にその日を教えるとは……ルシフェルも迂闊でしたね」
「ええっ? マリアさんに教えたのって……」
ミカエル様の言葉に僕は目を丸くした。
「そうだよ。ルシフェル様から聞いたんだよ。天界に帰れる日が今日だって事。またしっかり働くようにって」
マリアさんがへへへと笑う。
「しばらく脱走しないでおとなしくしてたからね。もうあきらめただろうって思ってくれたみたい……いつからまたルシフェル様の下で働けるんですか? ってちょっとやる気みせてみたらあっさり教えてくれたの。あたしの作戦勝ちっ」
得意顔で話すマリアさん。
「それ聞いてからも今日がくるまでずっと大人しくしてたもんね。今日さえ乗り切れば寿命の定めはリセットされて延命されるのは和夫さんの時に実証されてたからねー」
「そ……そうだったんだ……」
「そ。だから油断させといて見事今日脱走成功させたのよ。どう? ママえらいでしょ?」
「えらいでしょ、じゃありません」
ガッツポーズを決めるマリアさんをミカエル様がちらりと睨み、低い声音で呟く。

