黒い羽根




 安堵と同時に、その美しさに思わず、ほう、と息が漏れた。

 髪は以前と変わらぬ艶やかな黒。

 色を取り戻した唇の赤。

 それが白い翼によく映える。



 マリアさんは……本当に綺麗で。

「ボロボロでは役にたちませんからね……新しい羽根です」

 ミカエル様がくれたのは天使の魔力を持つ白い羽根。

 そして、僕の身体にも異変が起きていた。

 胸元が……マリアさんの黒い羽根が埋められた胸元が白く発光している。

「持ち主の属性が変われば、もとの所有物の属性も変わる」

 説明するようにミカエル様が僕にそう言った。

「良かったねえ~智彦。こりゃ、あとの人生楽しいことばっかよ~」

 天使になっても変わらぬ口調でマリアさんが笑う声が響いた。










   +++

「天界の仕事についてはマリアに聞きましたね?」

 ミカエル様の言葉に僕は黙って頷く。