黒い羽根


 そういってミカエル様は吹きだしたのをごまかすようにコホンと、ひとつ咳払いをして続けた。

「私の手にはもう手におえないからお前が預かってくれミカエル、と。つまりは天使庁に転属させろとね」

 そう言ってミカエル様は手の平をマリアさんに差し出す。

 その手の平から、白く光る球体が浮かび上がってくるのが見えた。

 球体の中にあるのは……あれは―― 真っ白な、大きな羽根。

 それをマリアさんが両手で受けとると、とたんにマリアさんの身体を白い光が覆って……そして。





 バサッ……。




 灰色から真っ白に塗り清められ、艶やかな光を放つ、白い翼が広がった。

「マリアさん……」