黒い羽根




 ずっと見ててくれたんだ……僕は気付きもしなかったけど……。

 マリアさんは、ずっと僕のことを……。



「で? 大天使長様自らこんな落ちこぼれの悪魔の処分に来たんですか? ……ミカエル様ったら」

 マリアさんは目の前の天使に再び顔を向け、大天使長様と呼びながらもいつもの調子でそんなことを言った。

「え……?」

 処分という言葉にドキリとして思わず声が漏れる。

「二回も規律破っちゃったしねえ~」

 けらけらと笑うマリアさん。

「ちょっ……そんな。マリアさん嘘でしょ? 処分って……それって……」

「天界の掟は厳しいのだよ息子よ。今度は永久投獄か、はたまた存在抹消かってとこかしら」「って、そんな気楽に……!!」

 状況に似合わない呑気な物言いのマリアさんだけど、とんでもない事態なんじゃないだろうか、これは。

「あのっ!!」