――一体何が起こったのか?
状況を飲み込めないままに必死に呼びかけると。
「う~ん……あいたたたた」
顔をしかめたマリアさんが唸るような声と共に目を開けた。
「あ~……良かった良かった。戻ったね」
起き上がっている僕を見て呑気な声を上げているが、その姿に覇気はない。
酷く弱々しくて……今にも消えそうな……。
…………消えそう?
抱いたイメージは勘違いでも何でもなく、マリアさんの翼の先がうっすらと霧状になっているのにぼくは気付いた。
「マリアさん! 翼が!」
驚いて声をあげた僕。
だけどマリアさんは自分の翼を振り返ることもなく、僕の顔を見上げて笑っている。
まるで、分かっていることだというように……。

