黒い羽根



 すると、目の前に崩れるように倒れている人影を見つけて、僕は慌てて身体を起こした。

 文字通り、飛び起きる。

 あれほど、どんなに動かそうと思っても動かなかった身体が、嘘みたいに素早く反応した。

「マリアさん!!」
 
 僕の傍らに倒れている灰色の塊。

 黒く艶やかだった髪は、光を失い灰色に染まり。

 その翼も同様で。

 綺麗だった黒い両翼はボサボサと乱れて、灰色に変色して抜け落ちた羽根が周り一面に散らばっていた。

 動けるようになった腕を伸ばして、細いその身体を抱き起こし座らせる。

「マリアさん!! 何やったんですか!?」