黒い羽根







 知らなかったわけじゃない…………知ろうとしなかっただけだ。



 いつだって、みんな酷い言葉だけをぶつけてきたわけじゃない。

 むしろ、こんな僕にもったいないほど優しい言葉をくれていたのに。

 流れ込んでくる悪意に惑わされて。

 誰のことも信じることが出来なくて。

 言葉の裏にあるのが悪意だけじゃないと、どこかでわかっていたはずなのに……知っていたはずなのに。



 僕は、ずっと見ようとしなかった。

 知ろうとしなかった。

 聞こえなかったのは、自ら聞こうとしなかったからだ。

 

 ずっと―― 壁を作っていたのは僕のほうで。

 みんな、近づこうと……受け入れようと、してくれていたのに。