黒い羽根



 一瞬のようにも、長いようにも感じる不思議な感覚の中。

 それはとどまることなく、過去にさかのぼるように僕の視界を横切っていく。

 それと同時に、突然、頭の中に響いてきた言葉。



『お父さん亡くなって一人でやるって……大変でしょうに。もっと親戚を頼ってもいいのにねえ……心配だわ』

『お前だったらいいと思ったのに、何であいつ振っちゃうんだよ……』

『親友だと思ってたのにどうして心を開いてくれないんだ? もっと仲良くなりたいだけなのに』

『どうしていつもひとりなのかな?』

『優秀な奴なんだがなあ……最近は大変そうだからなあ。無理は言えんな』

『さみしくないのかな?』

『本音が聞きたい。もっと知りたい……』

『大好き! 私のこと見て! 大好きなの』

『ねえ、いつまでひとりでいるの?』

『ごはん、ちゃんと食べれているのかしら? あんなに痩せちゃって』

『大丈夫かあいつ?』

『大丈夫?』