「智彦君!! 智彦君っ!!」 混濁する意識の中、随分遠くで叫んでるような小百合さんの声が聞こえた。 ……あれ? 小百合さん……どうしたのかな? 泣いてる? 参ったな……泣かないで。 どうしよう、手が動かない……困ったな。 困ったな、どうしたらいいんだろう。 どうしたら泣き止ませてあげられる? 手が、動かないんだ。 どうしよう。 困ったな。困った。 困った…………な……。