「きゃっ!?」
振り向いた小百合さんが口元を両手で押さえるのが一瞬見えた。
その横を凄い勢いですり抜け落下した僕の後頭部を重い衝撃が襲う。
「…………っ」
悲鳴すらあげることが出来ない。
何の抵抗も障害もなくじかに身体を地面に叩きつけられ、最初にうちつけた頭の割れるような痛みと共に、全身の痛みが息を詰まらせる。
「智彦君っ!!」
小百合さんの叫ぶ声。
階上でドアが勢いよく開く音が遠く聞こえる。
近づいてきてるはずの誰かの足音がどんどん遠のいていく。
目の前がかすむ。
『まさ……か……』
来てしまったというのか?
こんな単純に、簡単に。
僕の寿命。
僕のオワリ。

