マリアさんの返答に僕は首を捻る。
――それはやっぱり、悪魔なのだろうか?
そういえば。
罰で羽根を切られて地上にいるマリアさんは本来の仕事を出来ないはず。
ということは、本来僕を迎えに来るはずの悪魔か天使が別にいるはずで……それがどちらなのかは多少気になる。
これといった悪いことはしてないとは思うが、逆もしかり。
たいして良いこともしていない。
望まない悪意を聞くまいとして、とにかく必要以上に人と関わることを避けつづけてきた僕の場合。
とにかく人との接点が少ない。
けれど、善悪のどちらを行うかという選択は、人に関わってこそ生まれてくる行為だと思うし……こういう場合はどうなるんだろう?
「ね~。早く何か作って~」
お腹が減ったと訴えるマリアさんにせかされて台所にむかいながら、そんな疑問が沸いたものの、マリアさんに聞くのはやめた。
聞いてもなんだか教えてもらえる気がしなかったし。
聞くのが怖い気持ちもある。
死んでしまった後のことまで気を揉まなきゃいけないのも妙な話ではあるが、自分がもうじき死んでしまうことを聞き、それを認めてしまっている今となっては、知りたくなるのも仕方ない。
だけど、聞いたからといったところで、どうにかなることでもないのもわかる。

