先週二十歳の誕生日を迎えたばっかりだ。
死にたいとも思っていたし。
そう思いながらもなかなかしぶとい自分自身に嫌気がさしたりしていたけど……それでも、面と向かってもうすぐ死ぬと言われれば人間誰だって動揺するものだろう。
胸のもやもやに、自分なりにそんな理由付けをしてみて、それを打ち消そうとしてみたけれど、それはそう簡単には消えることはなく。
「あれ? なんか浮かない顔してる?」
ようやくそんな僕の様子に気付いたマリアさんにかけられた言葉に、僕は首を横に振り
「いや……痛いのは、嫌だなあって」
そんな答えを返すしか出来ない。
「あはは、そりゃそうだね~」
能天気に笑い飛ばすマリアさんに。
『本当に母親なのか?』
ちょっとだけそんな恨めしい思いもよぎるが……そういや悪魔だったかと思うと、そんなごくごく人間らしい常識をぶつけたところで馬鹿らしい気もして。
急にからだの力が抜けるような感覚にとらわれて、僕はガクリとうなだれた。
「ん? どうした智彦。腹でも減った?」
うなだれた僕を不思議そうに見ながら、そういって僕の顔を覗き込むマリアさん。
その時……

