「その憂鬱な人生ともおさらばできるんだよ」
続けて飛び込んできた言葉がひっかかった。
自分の胸元へ落としていた視線をおそるおそるマリアさんへ向ける。
そういえば……マリアさんは悪魔で、元々の仕事は確か……。
「あんたの寿命、もうすぐなんだよ」
僕の頭に一瞬よぎった予想を、ものの見事に確定する一言。
心底良かったね~とでもいうような満面の笑顔と共に、マリアさんはあっさりと言ってのけた。
「……寿命って……?」
「そ、智彦の寿命。二十歳になってるの」
「…………ふうん……」
なんと返したものだろう?
僕の口からは気の抜けた返事。
そんな僕の様子などお構いなしに、はしゃぎ気味のマリアさんの声はやむことが無い。
「あんたが死ぬ時じゃないとその羽根とりだせないの。まさかこんな早くにチャンスがくるなんて思ってなかったわ~」
もう充分に魔力はたまっているはずだとか。
その羽根が無事戻ってくれば空に帰れるのだとか……そんな話を延々と聞かされながら、僕は何か胸にもやもやするものを感じていた。
確かに――

