不穏なものを感じて、眉をしかめる僕。
極上の笑顔を浮かべるマリアさん。
妙な緊張感が狭い部屋に立ち込める――
「切られた羽根をね。天界の奴らはあんたの胸に埋め込んだの」
「……で?」
「羽根は切られると魔力を失うのよ……でもねえ、生き物の中に埋められた羽根は長い時間をかけて失った魔力を取り戻すことができるの」
「……ふうん」
生返事を繰り返す僕に、立てていた人差し指をびしっと向けマリアさんが一際嬉しそうな声を上げた。
「喜べ智彦! タイムリミットは近いぞっ」
「……は?」
いきなり喜べと言われても。一体何を喜べと?
疑問符で頭の中を埋め尽くされている僕の表情を見て、マリアさんは真っ黒な瞳をキラキラと輝かせ、愉快そうに笑う。
「もうすぐ復活するんだよ。あたしの羽根が」
「…………はあ?」

