「だけど、父さんが死んだのは三年前……寿命は変えられないんじゃ……」
言いかけた途端、僕の口を制すかのようにマリアさんが目配せしながら頭を左右に振る。
そして、ちいさくため息を漏らすと、
「魂を回収してしまって、連れて行ってしまったら私の仕事はおしまい。和夫さんとの魂ともさようなら……でもね、いっしょにいたいって思ってしまったの……」
少し切なげな表情で続けた。
父に恋してしまったマリアさんは、天界の厳しい掟をやぶってしまった。
魔力を使って傷を癒して、寿命を迎えるはずだった父を助けてしまったのだ。
そのまましばらくマリアさんの魔力で身を隠した二人。助けてくれて……しかも魅力的なマリアさんに、当然のように父は恋に落ちてしまい。
二人はめでたく結ばれ、僕が生まれたそうだ。
だけど、僕を生んだことで魔力が一時的に下がったため、居所が見つかり天界に連れ戻され……父の気憶は改ざんされ、半分人間の血をひく僕は父と一緒に地上に残された。
独り天界に連れ戻されたマリアさんに与えられた罰は――

