「いや……別に無理にとは言いませんよ」
得体の知れない勢いに押されて思わず腰がひけるも。
「ぜ~んぜん無理じゃないわよっ。ああ、でも普通のお父さんとお母さんって恥ずかしがったりしてなかなかこんな話してくれないものよねっ。でも安心して。あたしは全然そんなことないから~」
「いや、でもそういうのって二人だけの大事な思い出にしとくもんじゃ……」
「やーね。遠慮なんていらないわよ。家族なんだからっ」
「う……家族かも、知れませんけど……」
「かもじゃないのよ。ちゃんとした家族っ。もう、智彦ったら照れちゃってか~わいい~んだから~」
「照れてなんか……」
「いいから! 聞いときなさいっ。こんなチャンスなかなかないんだからっ」
全く僕の意思など関係ないとでも言うような満面の笑顔。

