天使の迎えが来た清らかな魂は安寧の国へ。
悪魔の迎えが来た罪を負う魂は贖罪の国へ。
僕の父はお世辞にも良い生き方をしていたとは僕にも言えない。
父の名前がのったリストが悪魔であるマリアさんに渡されたのはなんとなくわからないでもない。
「たいていはねえ……みんな私達が迎えに行くと怖がるのよね。往生際悪いってか……まあ、悪い事し放題の奴に限って臆病ってか……悪いこと沢山やっててやさし~い天使様に迎えにきてもらえるわけないじゃんねえ」
マリアさんは可笑しそうに笑いながら言った。
そして、ひとしきり笑った後。
「だけどね、あんたの父さん……和夫さんは違ったのよ」
うっとりとした表情を浮かべ、そして僕へちらりと流し目をくれた。
「聞きたい?」
「……え?」
「聞きたい……よねえ! もちろんっ。あなたのお父さんとお母さんのラブストーリーよ~。聞きたいに決まってるわよねっ」

