黒い羽根



 放心状態のままマリアさんから聞かされた話は、あまりにも突飛でとんでもない話で。

「信じられない」

 ぼそりと言った僕だったけど。

「でもそれを言ったら、智彦が人の心読めるのだって普通じゃ考えられない話だろ?」 

 マリアさんにそう言われると否定のしようもなく、僕はそれを認めざるを得なかった。



 話はこうだ。



 悪魔のマリアさんには仕事があって、それは人間が寿命を終える時に出る魂を回収にいくこと。

 人間にはそれぞれ定められた寿命があり、それは生まれた時から決まっていて、誰にも変えることは出来ないという厳しい決まりがあるらしい。

 いわゆる、俗に言う運命ってやつだろう。

 それぞれの生前の行いによって、迎えに行くのが天使か悪魔かに振り分けられ、リストアップされてそれぞれに委ねられる。

 迎えに来られ回収された魂は、迎えに来たのが天使か悪魔によって行先が異なる。