あの後世界が何か変わったわけではない。
変わったのは僕。
見方を変えるだけで、この世界はこんなに居心地が良いものだったのだと僕は気付いた。
あの日まで、別れたくて仕方なかった世界。
――だけど、今は違う。 出来る限り、僕はこの世界で生きていこうと思う。
もっと、僕の周りで僕を支えてくれてた人たちのことを、その気持ちを知るためにも。
もっともっと違う顔を持っているはずの、僕が生まれて、僕が育ったこの世界を知るためにも。
自分自身のことをもっと好きになるためにも。
母さんが残した、最後の言葉をかなえるためにも――

