危ないところだった。
今の僕はもう死んでしまうわけにはいかないのだ、気をつけなくては――
「迎えに来てくれたんですか?」
無事に車にたどり着き、助手席に乗り込みながら尋ねると。
「悪い? さんざん心配かけたあげく退院の日も知らせないで……勝手に病院に電話して聞いたわよ」
少し頬を膨らませながら小百合さんは車のエンジンをかける。
「大体、風邪ひいたっていうから見舞いに行って、その帰りの見送りなんかでうっかり階段から落ちられて怪我なんかされた日には……見舞いの意味もあったもんじゃないでしょう?」
やれやれといったふうに、肩をすくめてハンドルを握り、小百合さんがぼやく。

