黒い羽根



 あの後、マリアさん達が空に姿を消すと同時に、止まっていた時間は再び廻りだし。 

 ふらつきながらも体を起こした僕は、顔面涙まみれの小百合さんに激しく抱きつかれ、

「よかった……死んじゃったかと思った~!!」

 と、泣きじゃくりながらも、しっかり救急車を呼び出した小百合さんに有無を言わさず病院送りにされた。

 検査の結果は、後頭部に軽い打撲と擦り傷のみだったものの、一応用心のためと、出血が少し酷いからということで、そのまま三日間の入院。

 頭の傷とは、ほんの少しでも大量の出血をするものだから……。

 だから大丈夫だと。

 心配する小百合さんをなだめて帰すのに少し苦労した。

 だけど、あんなに心配してくれるなんて……思ってもいなかっただけに、少し嬉しくなった。

 一階にたどりつき広いロビーを抜けて自動ドアをくぐり外へ出ると



 ププッ。



 聞き覚えのあるクラクションの音。