「仕事のノルマはこなしていますからね。あまり最初から締め付けすぎてまた脱走されても困りますし…………それに所詮私も……父上の子ですから」
最後の一言に込められた意味。
それは聞くまでもない。
「ふふ……そうだな。そしてお前と俺は紛れもなく兄弟だ」
鳥はそう言って笑い、満足げに頷くと。
軽やかな羽音をたてて、窓辺から飛び立っていった――
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「お世話になりました」
僕が病院のナースステーションに立ち寄りお礼を言うと。
「今度はもう階段から落っこちたりしないようにね~」
体格の良い婦長が笑いながら手を振った。
「はい……気をつけます。ありがとうございます」
苦笑混じりにもう一度頭を下げて、エレベーターに向かい、一階へとむかう。

