ん。


そういや、俺も誰かに執着したことあったな。



あれは確か陽菜乃で、


俺は陽菜乃のことが



  「―――好き」



好き、で。


「…え?」


「…………好きです、衡…」


チャイムが鳴り響く。


小さく繋がれた、淡いピンク色の手が


小さく小さく、震えていた。