「たとえアンタに殺されそうになっても、脅されても...姫乃だけは誰にも譲らねえ」


「...あなたも私と一緒ね」


「お母様...」


「お父さんと、同じ性格の方と恋に堕ちるなんて...」


...は？


いや、俺にはさっぱりなんだけど


てかここの家に親父居んの？


全然話聞かねえんだけど...


「お父様ね、...浮気して、家を出て行っちゃったの」


「...は？」


俺は一瞬心臓が止まるかと思った


俺と...一緒...？


「だからお母様は...男を嫌うようになった。あたしが生まれて...５年後に...家から姿を消したわ。まさに行方不明」


「.....」


俺のことを言われてるようで心が締め付けられる


「だからって...男は全部そういう奴じゃねえ。俺も...アンタの親父のように浮気するかもしれねえ。けど絶対...心から愛してんだよ。そうじゃなきゃ、誰も愛せねえしアンタだって、愛してたんだろ？」


「.....」


何も言わない母親をじっと見る


明らかに目が泳ぐ母親


「愛してたんなら、親父だって愛してたんだよ。恋愛は、一方通行ばっかじゃねえ。絶対想い合わなきゃ何も変えられねえんだよ」


有羽、お前にも聞かせてやりてえ


俺、結構カッコいいこと言ってんだぜ？


「...分かりました。姫乃さん、いえ...姫乃。あなたの好きなように生きなさい。お母さんも...姫乃の生き方を応援します」


「...お母さん!!!」


やっぱ親子だな


笑顔がそっくりだ