「マリィさん、わたしが聞きたいのは・・・・・・」

「わかってる。わかってるよ、めあり。お前が知りたいのは『なぜ、自分と同じ種類の人間を殺さなくてはいけないか』だろ? さっき言ったじゃないか、他意はない、と」


違う。


きっと意味があるはずだと、めありは、マリィの背中に、珍しくきつい言葉を投げかけずにはいられなかった。

「マリィさんは、わたしの最期を見せたいんじゃないですか!? 仕事をして、いつか本当のわたしの身体を手に入れても・・・・・・所詮は、かりそめのモノだって・・・・・・!」


マリィのタバコは四本目になった。

三本目も、ほんの先の方だけ吸っただけだった。

ただ、今度はゆっくり、ていねいに味わっているようで、規則的な彼の呼吸音が部屋に響いた。


めありは言葉を待った。

彼の次の言葉を。

責められるのか、一笑にふされるのか。

めありは頭がごちゃごちゃになる。


アンヌ・マリイは、めありに背を向けたまま、手で退室をうながした。

彼は、怒るでもなく、責めるわけでなく、いつものように淡々と、めありにいった。


「じゃあ、木曜日。いつもの時間に迎えに行くよ」