そう質問しても返事は返ってこない。

黒河くんはずっと斜め下を見つめていた。

(無視…!?)

「ねえ、どこで拾ったの?」

「……………」

再び質問しても返事はやはり返ってこない。

私はだんだん腹が立ってきた。

(なんで無視すんのよっ!)

私は立ち上がって黒河くんの机を叩いた。

「ちょっと!聞いてんの!?」

皆が一斉にこちらを見た。
皆何事かと私達に疑問の視線を投げかけている。

しかし、怒りに身を任せている私は、クラスメイトの視線などどうでも良かった。

どうやら私はキレると人格がかわるようだ。


「いいから座れば?」

黒河くんがうざったそうな顔をして私を見た。

「だって!あんたが無視するからじゃん!」

「………知らね」

「なっ……」

私が黒河くんの言葉に反論しようとすると、

「はいはい、二人ともー!喧嘩終了!!椎奈は席について〜」


「………だって」

凛夏が割り込んできて、ひとまず気持ちが落ち着いた。

凛夏にうながされて、自分の席に座る。

それから皆何事もなかったかのように前に向き直した。

私は周りを見渡した。

すると、

『黒河くん超かっこいい〜』

という声がして。

(!?)

『クールなとこもやばい〜っ』

(!!?)

声のした方を見ると桜田さんと前の席の子が頬を赤らめながら、話していた。

(なにそれ!あんなやつ顔だけじゃん!今日の見たら絶対性格悪いし!!)

私は横目で黒河くんを睨んだ。
よく見ると彼は寝ていて。

(……ほんと最悪。こいつ)

そう思いながら、私も眠りについた。

この時私は気付かなかった。
黒河くんの冷たい瞳が私を捕らえていたことに…。