え?

なんだろう…




突然視界は真っ暗になった。



真っ暗な世界でわかること


それは僕の手を姫が握ってること




「姫、大丈夫か?」


声をかけても姫は返事をしない。


ただうつむいたまま


何回も何回も呼びかけた

なのに姫はうつむいたまま


おかしい…



そう思った僕は姫の顔をぐいと僕の方に向けた。



確かに姫だった
だけど姫の顔ではなかった

裂けた口
とび出した目

人間の顔ではなかった




「ゆぅ…ちゃん…」

太くにごった男か女かわからない声

その声からわかることは
かすかに姫の声が混ざっていること






僕はとっさに繋いでた手をふりほどいた。



「お前は誰だ。姫はどこだ」
震える足をおさえ
声を張り上げた。



「くくく、さあ?」



不気味な笑い声
にんまりと笑っている

完全に姫の声は消えていた。






キモチワルイ




確かに姫の体
でも中に居るのは姫ではない