45センチのコイ。

あたしは、夢香の言葉にわざと眉間に皺を寄せた。


「……わー……。
……わ、わ、わーっ」


夢香の中ではさっきの話は終わったのか、また苗字のことを思い出そうとしてくれた。


あはっ、なんかいつの間にか歌ってるし。


「……ゴメンね、夢香。
もう大丈夫だよ」


ずっと夢香が「わ」しか言わないで思い出そうとしてくれるのを見て、なんだか申し訳ない気持ちになった。


「ゴメンって。
しがつついたちくんの苗字はいいの?」

「うん。
ほら、あたしたちケータイっていう優れものを持ってるじゃん?」


制服のスカートのポケットからケータイをすちゃっと出して、夢香の前でゆらゆらと左右に振って見せる。