私、橘柚葉(タチバナユズハ)は自分で言うのも変だけど、文学系女子でどちらかというと静かであまり目立たないタイプだ。

いつも三つ編みのおさげにして自分の席で読書をしている。

そんな私が高校に入学した一番の楽しみが図書室だった。

中学の図書室に比べると圧倒的に本の分類も数も違う。

だから高校生活最初の昼休みに行ったのはもちろん図書室だった。


心臓をドキドキいわせながらゆっくりと扉を開く。

本の多さに瞳を輝かせながらスキップしそうになるのを抑えて、順番に本棚を見て回った。

その時ある一点で目がとまった。

それは扉から一番遠い窓側の席。

そこに座っている人を見た瞬間思わず息がとまる。