『全世界の人たちがみんな幸せになれればいいのにね。そうすればきっと僕は君のことを幸せにできたのに。』

放課後の図書室、窓から差し込む夕焼けの光が葵先輩の横顔をオレンジ色に染め上げる。

葵先輩は切なそうな笑顔を浮かべながら私にそう言った。

言い返そうと口を開いたけど、声は出なかった。

だって葵先輩のその表情はいつだって私の思考を止めてしまうから。

でも本当は何でもいいから言い返すべきだったんだ。

私に出来ることはそれくらいしかなかったんだから・・・。