そんな私に先輩は「大丈夫?」なんて言ってきて。

私はどうにか心をしずめて数度頷いた。

「よかった。この本のどの辺が好き?」

って先輩に言われたから、短い時間だったけどこの本についていろいろと語り合った。

本の話しが終わった後、先輩は何か思い出したみたいに「そうだ。」なんて言い出した。

「そういえば自己紹介まだだったよね。僕は神崎葵。2年4組。君は確か同じ図書委員だったよね?」

先輩が私が図書委員だってことを知っていてくれていたことに嬉しくなりながら、私も自己紹介をした。

「1年2組の橘柚葉です。神崎先輩と同じ図書委員です。」

先輩がよろしくって手を差し出してきたから、私もそっとその手を握り返した。