始発とともに

一通りの面倒を済ませて、教室を出た。

すれ違う顔見知りに、わずかに残っていた理性で答えながら廊下を歩いた。

楽しそうに思い出を語る馬鹿な人。

輝かしい未来を夢見る愚かな人。

蔑むような視線を隠しきれそうもなかったから、少しだけ小走りで下駄箱に向かう。

我が子を待つ保護者を横目で見ながら、心の中で別れの喜びを噛み締める。

義務教育という鎖と、学校という牢屋からの解放。

次に行く学校は偏差値しか見ないという、広い檻。

だから、そんなに苦痛な気がしない。

そんなことを考えながら歩いていたから、家に着いた途端の嫌悪感は言い表せないものだった。

何よりも苦痛な牢屋はここだった。