始発とともに

「北斗、聞いてる?」

気づけば、秋が覗き込む様に北斗を見つめていた。

「えっ、何だっけ?」

「もう!
崇が帰りに商店街のカフェに寄ろって。」

「カフェ?」

北斗が崇を見ると、崇は苦笑いを浮かべている。

「カフェっていうか、喫茶店な?
ほら、魚屋の隣の老夫婦がやってるところだよ。」

「あぁ…」

古そうな見た目で、言われてみれば谷中喫茶店の看板が掲げられていた気がする。

一度も入った事はないが、営業しているかも怪しい店だった。

「あそこはフレンチトーストが美味しいのよ。」

「そうなんだ♪」

そのまま秋と蓮華は、スイーツの話で盛り上がっていく。

「じゃあ忍さんに連絡しとく。」

「じゃあ早く行こ♪」

秋の笑顔に、北斗は苦笑いを浮かべた。

そんな北斗を見つめる蓮華を、崇は少し悲しげに見つめていた。