始発とともに

「実はさ、蓮華の両親は激しく仲が悪いんだ。
ささいな事ですぐ言い争いになって、気に入らないことがあるとそれぞれ愛人の家に行っちゃうんだ。
平気で2週間以上家を空けて、それなのに平然と戻ってくるんだ…」

崇の話を聞きながら、北斗は秋の事を思っていた。

似たような境遇の秋は、そうして両親から捨てられたと言っていた。

高校生だからと言って、教育を放棄する意味が分からない。

「それなのに、蓮華の両親は離婚しないんだ…」

「どうして?」

「蓮華の父方のじいさんが亡くなったとき、遺産は全て蓮華に譲るってふざけた遺言残したんだよ…」

崇は怒りからか唇を結んだ。

「未成年の蓮華に遺産を残したってことは、管理は両親。
蓮華から離れたら、何かあったときに遺産は手に入らない…」

北斗が言うと、崇は渋い顔で頷いた。

「だから別れないんだ…
その癖、蓮華の目の前で相手を罵って追い出そうとする。」

北斗は黙って崇を見つめた。

「俺の考えすぎかも知れないけど…
たまに、蓮華を殺そうとしてるんじゃないかと思うときもあるんだ…」

崇の言葉に、北斗は目を見開いた。