始発とともに

このまま夜空に溶けてしまえばと心から願うが、当たり前のように足は地面に着地した。

そのまま門を出て、駅に向かって走った。

とにかく家から、町から、知り合いから離れたかった。

一刻も早く。

駅の明かりが見え、時刻表が見え、進行方向も目的地も決めないままホームに駆け込んだ。

ホームにいた電車に乗り込み、ガラガラの座席に座った。

電車が走りだし、住み慣れた町から離れていく。

振り返る事はないし、振り返る必要もない。

別れは別れ、別れは終わりだから。

そして、ゆっくり目を閉じた。



…ーーー…